お願い、あと少しだけ
レストランデート
弘樹が奈緒子を連れてきたのはカジュアルなイタリアンレストランだった。

「ここ、よく岡崎たちと来るんだ。何でもうまいよ」

後輩の名前を出して説明した。

「特にうまいのが、カルボナーラ!卵のトロっとしたのがたまらない。黒コショウも効いてて・・・」

「岡崎くんと仲いいの?彼も淋しくなるね」

「そうだな、でも、あいつにも彼女いるから。東京に戻ってきたときはずーっと一緒だよ」

「それでいいの?」

「いいの、いいの、奈緒子が一番!」

ぽっ、と赤くなった。弘樹からそんな言葉が聞けるなんて、1週間前は思ってもみなかった。

「今度の土日空いてる?2人でどこか行こ?土曜は、とりあえず、横浜あたりをぶらぶらして、日曜は・・・」

「プラネタリウムが見たい」

宇宙は、つながっているもの。2人はつながっているって感じたい。

「プラネタリウムかぁ。この辺はどこにあるかな?サンシャイン?スカイツリーもあったっけ」

スカイツリー・・・奈緒子は1回も上ったことがなかった。

「弘樹はスカイツリー、行ったことある?私はないんだけど」

「そういや、大学から東京なのに、一度もないなぁ。じゃあ、日曜はスカイツリーに行くか」

奈緒子が満面の笑顔で

「賛成!」

とはしゃいだ。
< 3 / 53 >

この作品をシェア

pagetop