お願い、あと少しだけ
木曜日、弘樹残業
その日~木曜日の夜、弘樹は激務に追われていた。夜、9時。腹、減ったな。簡単なものでも食べに行くか。

ふとスマホを見ると奈緒子からメッセージが届いていた。時間は8時45分。

【弘樹、まだ仕事中?大変ね、忙しいのは分かるけど頑張りすぎないでね。11時頃まで起きてるから、メッセージに気づいたら返事ください】

キリがいいところだから、返事しとこう。

【奈緒子、メッセージサンキュ。まだ仕事、山積みだよ。とりあえず、これから夕食の予定。明後日、どうしようか?渋谷はごちゃごちゃしているから、桜新町まで迎えに行こうか?】

弘樹が会社近くの立ち食いそば屋でそばを食べていると、奈緒子から返事が。

【いいの?弘樹の負担にならない?】

【たいしたことないよ。じゃあ、11時に桜新町駅の地上入り口で】

【了解!ありがとう】

奈緒子には言わなかったが、正直、可愛い奈緒子が渋谷でふらふらして、悪い男に絡まれるのが怖かった。奈緒子に自覚がないのにも困る。その点、桜新町なら安心だ。

急いで会社に戻って、仕事をこなす。とりあえず、メールの数がすごい。向こうに行ってからの指示の類が多いから、気が抜けない。

ふぅ~。やっと終わった。時計を見たら11時半だった。奈緒子はもう寝たよな。

【大好きな弘樹へ。気を付けて帰ってね。おやすみ。チュッ♡】

というメッセージが11時ちょうどに入っていて。あぁ、なんで気がつかなかったんだろう、と自己嫌悪。返事をしたい衝動にかられたが、起こしちゃかわいそうだ。おやすみ、奈緒子。心で唱えて帰途についた。





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