待ち人、音信なし
待ち人、過ぎる

隣国との敵対関係はもう300年以上続いていた。

度々ぶつかり、治まり、を繰り返している。
メルク王国の歴史は戦争と共にある。

この国に生まれ落ちた最初の選択は義務教育だ。兵士としての教育を受ける学校に行くか否か。
普通ならば避けて通りたいところだけれど、その学校に行くと国から給付金が貰える。貧しい家庭の子供の殆どがそこへ行く。

行けばこの先、どんな職に就いていようと戦争が起これば召集される。

アイザックもそうだった。
付き合う前に、それは聞かされていた。

『いつか君を遺して死ぬ日が来るかもしれない』

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