カタブツ竜王の過保護な求婚


 カインが王城を出発してから、ちょうど二十日。
 ジナフ王の体調もかなり回復し、近々政務に復帰する予定であることが伝えられ、レイナは安堵していた。

 また、初めの頃はどこかよそよそしかった城の者たちが、この憂い事の多い中であれやこれやと気を配ってくれており、レイナの心は慰められていた。
 モレト男爵夫人も、あの日から何かと声をかけてくれる。
そのため、そこそこ気の置けない会話ができるようになっていた。


「ここだけの話なのですけれどね、実はフロメシア王国でも不穏な動きがあるそうですわ」

「……フロメシアで?」


 声をひそめて顔を寄せてくる男爵夫人に合わせて、レイナの声も小さくなった。
 南部地域だけでなくフロメシア王国内もとなると、ちょっとした諍いとは言えないのではないのだろうか。

 兄のレグルは大丈夫だろうか、ユストリスはこの裏切りをどうするつもりなのだろうかと様々なことが頭をめぐる。


「ええ、民の中には人間も多くおりますからフロメシアに厳しいのではないかとの意見もあるそうです。やはりあの地はフロメシアと交流が盛んですから、思い入れも強いのかもしれませんが……。大事にならなければ良いですわねぇ。今は陛下も王太子殿下も大変な時でいらっしゃいますもの。それで、殿下がお戻りになる時期はおわかりになりましたか?」


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