モブで地味子な私を、超イケメン男子が、かまってかまって溺愛中!

第7話「俺と同じだ」

 私が呼んで、成瀬君がすぐ来るとはまったく思っていなかったのだろう。
 白鳥さんはビックリ。
 まったくの想定外(そうていがい)という感じで、ただただ呆然(ぼうぜん)としていた。
 
 そして、白鳥さんはすこしたってから、しぼり出すようにやっと声を発したのである。

「ま、まさか!? な、な、な、何で? み、み、三島のメールで!? ゆ、ゆ、悠真様(ゆうまさま)が、ぶ、ぶ、部活ほっぽりだして、く、来るのよぉ……し、しんじられないっ!」

 ここで成瀬君が私へ目で合図した。
 いわゆるアイコンタクトだ。

 何だろう?
 どういう意味。
 う~ん。
 「話を合わせろ」って、意味かもしれない。

 と思ったら、成瀬君、白鳥さんへ話しかけた。

「おい、君」

「は?」

「君は、ゆいと同じクラスの白鳥礼華(しらとりれいか)さん……だよな」

「はっ、はいっ!!」

 白鳥さんがかみながら返事をすれば、成瀬君は他の女子たちにも声をかける。

「そして、まわりにいるのも、ゆいのクラスメートのみんな……だよな?」

「「「「「「「「「「は、はいっ!」」」」」」」」」」

 全員が返事をすると、成瀬君は私に目くばせした。
 何か、大事な事を言うつもり?

「白鳥さんたち、ひとつ、言っとくぜ」

「「「「「「「「「「「は、はいっ!」」」」」」」」」」」

「俺と、ゆいは友だちだ。実は、初めて親しくなった女子のともだちだ。そうだな、ゆい」

 へ?
 私が初めて親しくなった女子?
 
 ふだん、あんなにモテて、超イケメンなのに?
 うっそぉ?

 「そんなバカな!?」と思ったが、さっきの成瀬君からのアイコンタクトを思い出した。
 ここは、素直(すなお)に「はい」と言っておこう。

「あ、ああ、はい」

 次に成瀬君は二ッと笑い、言い放つ。
 
 あ~。
 何かちょい不良。
 いやいや、アニメやラノベに出て来るワルものみたいな笑い。
 すっごくイヤな予感がするぞ。

「ゆいは、人見知りするぼっち体質だ。そうだな、ゆい」

 おいおいおい!
 何を言う!
 誰がぼっちだぁ!
 
 ……まあ、確かにそうなんだけど。
 君から面と向かって言われるとムカつく。

「ううう」

 ちょっとくやしく、ワンコのようにうなる私。
 成瀬君は、いたずらっぽくウインクしながらしれっと。

「そうだな、ゆい!」

 仕方ない。
 ここは認めるしかない。

「そ、そうよ」

「だから、ゆいは俺と同じだ」

「え? 悠真様が? 三島と同じ?」

「おう! こう見えても、俺、人見知りするんだ。それに、ゆいとは共通の趣味もある」

「え? 悠真様が? 人見知り? 三島と共通の趣味?」

「おうよ! という事はだ。ゆいと気が合う女子は俺とも気が合う。友だちになれるって事だ」

「三島と気が合う女子は、悠真様と友だちになれる?」

「おう! てなわけで、ゆいと仲良くやってくれ。頼むぞ、白鳥さん」

「み、三島……さんと、仲良く?」

「おう、白鳥さんのお友だちも頼むぜ。仲良くなったら、俺も友だち連れてくるから、みんなでメシでも食いに行こうぜ。どうだ? 全員、俺と約束できるか?」

「はいっ! 三島さんと仲良くします。悠真様へ約束いたしますわっ!」

「私も!」「私も!」「私も!」
「私も!」「私も!」「私も!」
「私も!」「私も!」「私も!」

 と、いう事で……
 白鳥さん達は私に突っ込まなくなっただけでなく……
 いろいろと気づかいしてくれる事となったのである。
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