【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜

 

「……え、あの人って……」

 確か五月女社長の秘書の……。永岡(ながおか)さんだ。

 え、社長……こんな所で何してるの?

 だけど社長と今ここで会うのは、わたしはとても気まずいと感じて、その場から離れることにした。

「……あれ? 君は……」

 だけどそう上手くはいかず、そろっと立ち去ろうとしたのに、見つかってしまった。

「……さ、五月女、社長……」

 なんで……。なんで見つかってしまうの……。見つからないようにしようと思ったのに。

「君、確かこの前、保管庫の前で……」

「あ! ひ、人違いです……!」

 きっと五月女社長は、あの時わたしが社長のことを奏人と呼んでしまったことを言いたいのだという悟った。

 だから言われる前に、立ち去ろうとしたのだけれど……。 

「ちょっと待って!」

「え……!?」

 左の腕を掴まれてしまい、そこから立ち去ることが出来なくなった。

「君、ちょっと時間ある?」

 そして突然、そう問いかけられた。
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