秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
第二章

燻ぶる想い

足の痛みに気づいた翌朝。晴馬を保育園に送り出したあと、会社には遅刻する旨を連絡し、須皇総合病院に向かった。

「それで。どうしてお兄ちゃんまで一緒にくるの?」

なぜかついてきた兄に向って、胡乱気な眼差しを投げかける。

仕事が忙しいと言って残業ばかりしているくせに、妹の病院に付き合っている暇なんてあるの?

だいたい、歩けないというならまだしも、軽く足が腫れただけでついてくるなんて、かなりの過保護っぷりである。私もう二十八歳なんだけど……。

「ちゃんと見張ってないとバックレそうだしな」

「さすがに病院をバックレたりしないよ……」

そんなことを言い合いながらも受付を済ませようとすると、前回の受診から間が空いてしまったので、再診では扱えないとのこと。

じゃあ近所の病院に行こうかと回れ右をしたら、兄に首根っこを掴まれ受付の椅子に座らされた。

とうとうと諭され、仕方なく初診手続きを終える。整形外科の外来に移動して、規則正しく並ぶ長椅子のひとつに兄と並んで腰かけた。

さすがは総合病院、外来はとても混んでいた。

しかし幸いなことに、今日は診察室が四つフル稼働しているから、回転は早そうだ。
< 55 / 205 >

この作品をシェア

pagetop