偽りの夫婦
不愉快
次の日の朝。裸で抱き合ってる二人。
紫龍が先に目を覚ます。
紫龍は基本的に、陽愛より後に目を覚ますことがない。
陽愛の可愛い寝顔をしばらく見つめる。

「可愛い寝顔…」
頭を撫でながら、
「もし陽愛が記憶を取り戻すことがあったとしても、俺を捨てないで…?
てか、放さないからね…絶対に……。
その為には、もっと…手遅れになる位……落とさなければ…!」
と、重い愛を呟く。

陽愛のスマホのメール着信音がなる。
普通に確認する、紫龍。
【昨日ぶり~!
陽愛の旦那、めっちゃカッコいいね!
今度旦那、紹介してよ!
イベント、来るんでしょ?】
昨日会った、寧々からのメール。

「は?イベント…?」
なんだ、それ?
俺、知らないし。

陽愛のことは全て、管理したい紫龍。
陽愛のことで知らないことがあるのは、紫龍にとって不快以外の何物でもない。
一気に不機嫌になる。


コンコン━━━━!
「おはようございます 」
と三好が寝室に入って、カーテンを開ける。
「………」
紫龍は陽愛のスマホを握り締め、画面を見つめていた。
「旦那様?」
「あ?」
黒い雰囲気を包んだ紫龍が、三好を睨み付けた。
紫龍のオッドアイと胸まで伸びた刺青の龍に、凄い威圧感がある。

「あ…いえ、すみません…!」
思わず三好が、後ずさる。
「お前、知ってる?陽愛のイベント」
「え?あ、ショップの開店5周年のイベントのことですか?」
「お前は…知ってんのか……
俺は知らねーけど……」
「え?それは……」

紫龍の雰囲気が益々…黒く、重たく圧迫されていく。
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