帝王と私~Darkness~
帝王の所以
「帝王様、申し訳ありません!
私が責任を持って始末しますので、どうか……」
「んー。
無理!
…てか、お前もわかってるだろ…!?
それに……お前に任せたら、始末しないじゃん!」
「え……?」
「バレバレ……お前の魂胆なんて………」

そう言うと、目の前の男の首を片手で絞めた。
「う……て、いお…さ…苦し…」
そして━━━
「はい!バイバイ……」
と帝王が言うと男の力が抜け、ぐったりして倒れた。

「フフ…次、お前(笑)!」
帝王が妖しく笑う。
「うがぁぁぁぁ………帝、王……さ…ま」
男の両目を潰した。
「羽山、あと頼む……」
「はい、かしこまりました」

これが“帝王”渚左 貴将である。

「社長、どうぞ」
「あぁ」
車に乗り込む。
「社長、こちらを…」
運転手の岡埜にウェットティッシュを渡される。

「そうだったな…!」
貴将の手は、先程の男の目を潰した時の血で汚れている。
「血…汚ねぇな……」
「え?」
「まぁ、俺もか……」
「でも今更、あなたは逃げられない」
「そうだ……!」
「大丈夫ですよ?弥生様もいるでしょ?
それに…私共もいます」
「そうだな」

静かに走り出す、車。

この美しい程のルックスと、恐ろしい程の雰囲気を持った男は、世界の帝王と恐れられている。
誰も、貴将には逆らえない。
誰も━━━━━━

先程、目を潰した男。
彼はあるやくざ組織の組長だ。
貴将とは、半世紀も年の離れた男だ。
そんな男にも恐れられる程の、怖さがあるのだ。
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