帝王と私~Darkness~

【制裁と殺戮】

気がつくと、どこかの廃工場にいた。

「え……ここどこ?
お腹…痛い…」
お腹を押さえながら、とにかくここから出なきゃと出口を探す弥生。

すると丁度、扉が開いた。

「あ、起きたぁ~?」
「さっきの……」
「そう、さっきの優しい笑顔の男でーす!」
違う!
さっきとは、確実に。
優しいどころか、怖い。
爽やかどころか、汚ない笑顔。

「どうして?」
「俺、雇われたの。君をここに連れてくるように」
「は?誰にですか?」
「んー。知らない!そうゆうの詮索しない主義だから。じゃあ俺はここまで!あとは、その雇い主が来るから、楽しんで?
じゃあね!」
そう言って、出て行ってしまった。

自分もここから出なきゃと、動こうとして気づく。
弥生に足枷がついていた。
「嘘……やだ…貴将さん、助けて!」
どうすれば
どうすれば
どうすれば………

落ち着かなきゃ…私は“帝王”の恋人なんだから。
頭を振り、深呼吸する。
とにかくまず、この足枷をどうにかしなきゃ!

「…って、無理に決まってるじゃん!
鎖ってどうすれば切れるのー?
貴将さん!助けて!」

貴将さんなら、どうするんだろう……。
貴将さん位の力があれば、この足枷切れるかもだけど、私の力じゃ……。

涙が溢れてくる。
泣くな!泣くな!泣くな!

そこへ━━━━━━
キーッ………
重たい扉が開いた。

「お待たせ~、弥生ちゃん!」

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