帝王と私~Darkness~

【葛藤】

大好きな貴将の声が届いたのか、匂いを感じたのかわからないが、急に落ち着いた弥生。

「え……。
貴、将さ…ん?」
「うん…俺だよ?貴将」
そう言って、弥生の顔を覗き、目を合わせた貴将。
「あ…あぁ……貴将…さ」
「うん…貴将」
「うわぁぁぁ……!!」
声をあげて泣く、弥生。

貴将はただ弥生を抱き締め、背中をさすった。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
弥生が、なんとか落ち着きを取り戻し、貴将の腕の中で首に手を回し、抱きついている。
貴将は弥生にパジャマを着せ、ずっと弥生の背中をさすっている。

「貴将さんのぬくもり、匂い…安心する…」
「うん…」
「ありがとう…助けてくれて…」
「当たり前でしょ?俺の弥生だよ?」
「でも、どうして私の居場所がわかったの?」
「フフ…それはね……」
貴将が弥生の黒いネックレスに触れる。

「これ、GPSがついてるんだよ?だから、いつでも弥生の居場所はわかるようになってるんだ」
「元々は俺の部下が、俺の居場所を常に把握する為に作ったネックレスだったんだ。
それで俺がずっとつけてた。
で、それを弥生にプレゼントしたんだよ?前にも話したよね?それをつけてる人間に手を出したら、俺に殺されるって!」
「そうだったんだ!このネックレスが守り神って、その意味もあったんだね…!」
「そう…弥生はいつでも俺に守られてるんだよ…!」
「嬉しい…」

「弥生…もう、寝よう?
今日は疲れたでしょ?大丈夫。ずっと傍にいるから。
ほら、横になって?」
貴将は、弥生を横にしようと促す。
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