帝王と私~Darkness~
帝王は寂しがり屋
こんなに恐ろしい貴将だが、貴将は弥生にしか見せない顔がある。

「私、そろそろ行かなきゃ!」
朝食後、後ろから貴将に抱き締められながら、コーヒーを飲んでいた、弥生。

「もう時間か……でも寂しいな…」
「そうだね…」
「行かないで…?弥生…」
更に抱き締める力を強くする、貴将。

「でも…行かないと……仕事だし」
「弥生と…もっとくっついてたい……」
「フフ…甘えん坊だね…(笑)貴将さん」
「そうだよ?知らなかったの?弥生」
「可愛い~貴将さん」
「でしょ?そんな可愛い俺を、一人にしないで?」
「フフ…終わったら、まっすぐ帰ってくるから」
なんとか貴将の腕の中から出た、弥生。

「行ってきます」
そのまま部屋を出た。

「………」
貴将は思う。
この部屋こんなに広かったっけ?
よく考えたら、弥生とここに暮らすようになって、いつも弥生が部屋にいる。
久しぶりに部屋に一人だ。

いつも弥生は、こんな広い部屋に一人で俺を待っていてくれたんだ。
「こんな…寂しい思いをさせてるんだな……俺は」
苦しい思いを払拭させる為、お風呂に入る貴将だった。

「……っつ!痛ぇ…」
弥生が噛んだ、親指。
結構強く噛まれたので、かなり切れている。

でも…こんな噛み痕でさえも愛しい。

お風呂から上がり、ベットに横になった。
かすかに甘い、弥生の匂いがした。
益々会いたくなる。
会って、抱き締めて、キスして、抱きたい━━━━

「ほんと……重症だな…」
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