研究員たちの思春期〜恋の仕方が分かりません!〜

2.女友達

夜は久しぶりに優那とご飯。
もうちょっとオシャレしてくるんだった、と待ち合わせ場所に現れた優那を見て思う。

大手製薬会社に就職して忙しい毎日を送ってるというのに、なんて綺麗なんだろう。

そりゃイケメンで優しい恋人と仲が良いわけだ。

優那が予約してくれていたエスニック料理屋に入る。
馴染みのないラベルのビール瓶が2本、目の前に置かれる。

「環、どう?研究室」

乾杯して一言目に聞いてきた。

「最近、メダカ大量に飼い始めた」

私がそう言うと、優那が笑った。

「そういうんじゃなくて」
「それ以外?」

あの地味で薄暗い研究室を頭に思い浮かべる。

基本メスばかりのミジンコが、理仁の趣味で最近はオスばっかり生まれてくる。
なかなか残酷な趣味だ。

「理仁が趣味でオスのミジンコたくさん作るようになった」

私の報告に、優那は「え?」と笑う。

「久しぶりに理仁の話が出てきたから、何か進展があったのかと思ったらミジンコ」

ビールを口に含んでもう少し考えてみる。
理仁からミジンコ以外の話題は出てこない。

「何かないの?」
「何かって」
「環、もう25だよ?」

優那のバッチリとした瞳が私を見る。
何度見ても美人だ。
大学一年、同じ授業で隣の席になった時にあまりの美しさに二度見した。

男ばかりの環境で勉強してきたから、工学部にこんな美人がいるとは思わなかった。

隣の席ということもあって、優那はすぐ仲良くしてくれた。
けど、私の遥か上をいく頭の良さ、美しさで、1年の頃から院を卒業した今も学部内のマドンナだ。

私は見事にずっと引き立て役をやってきた。
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