光を掴んだその先に。─After story─
甘い甘い時間




「えーっと、歯ブラシに箸、エプロン、食器…っと、」



他の日用品は揃ってたし、あとは私の着替え含むお泊まりセットくらいかな。



「わぁ、かわいい…」



「I」と、アルファベットがデザインされたマグカップ。

色の異なるものを1つずつカゴに入れて、レジへと。


そのあとは食材のお買い物をしてマンションに直行。

そんなものが金曜日の放課後ルーティンとなった。



「よしっ!完璧っ!」



“素人から始められる料理の基本!”なんて表記された雑誌も買って、ルンルン気分でマンションへ向かう。

このカードキーは絶対に落としてはならない。


今日はカレーにしよう。
カレーが基本だ。

それくらいなら私にだって作れるはず。



『これから金土日は勉強合宿してくるから…!』



そんなふうに理由をつけて、週末は彼のマンションで生活することになった。


みんな疑うどころか『頑張ってくださいお嬢!!』なんて応援までしてくれちゃって。

ちょっとだけ罪悪感はあったけど、でも世の中には正直に言えないことだってあるから仕方ない。



『もしかして2人の愛の巣ってヤツ?』



その中でも唯一からかってくる男は案の定、陽太。


愛の巣って……。

それって新婚ほやほや夫婦に言う台詞だよ…。



「しん……こん……、けっ、こん…」



ぶんぶんと勢いよく首を横に振る繁華街にて。



「だめだめっ!まだそういうの想像しちゃだめっ!」



今の私はそういうの考えちゃだめ!

炊事洗濯も一人前になって、その先で───…。



< 31 / 192 >

この作品をシェア

pagetop