光を掴んだその先に。─After story─




「すごいっすお嬢!!内定祝いの準備しなきゃっすね!!」


「まだ決まったわけじゃないから…!!」



俊吾なんか私以上に喜んでるし…。

みんな賑わっちゃって、ただ宴会をやりたいだけなんじゃないの…なんて思うけど。


面接は5日後。

まずは先生にも連絡して、お父さんにも知らせておかなくちゃ。



「じゃ、行ってきまーすっ!」


「今日は指切っちゃだめだよ絃ちゃん」


「わかってるっ!」



車から降りて、ひとつのビルへと入る。

エレベーターで3階へ。


わいわい賑わう教室の扉を開ければ、「絃ちゃん」と名前を呼んでくれる生徒たち。



「今日はオムライスだって!」


「そうなんですか!?美味しそう!」


「ふふ、絃ちゃんってば試食が楽しみになってるなー?」


「あははっ、バレましたー?」



中年のおばさまたち、中には彼女たちほどの男の人だっている。

そして若いママさんも。
しかし高校生は私だけだった。


そんな年齢の疎らな生徒たちの共通点は1つだけ。



「それでは始めましょう。今日は大人も子供も大好きなオムライスよ。おまけにスープとデザートも作るわ」


「「「はいっ!!」」」



そう、ここは街のお料理教室。

みんな料理が上手になりたい人たちで溢れている場所だった。


週に3回行われる楽しい時間。

少し前までは土曜日しか来れなかったけど、夏休みに入った今はしっかりと週3で来ていた。



「絃ちゃん、前より包丁の使い方が上手になったじゃない」


「本当ですか!?」


「えぇ。最初は危なっかしくて見てられなかったもの」



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