百怪談
継母
今から私が小学四年生だった頃の話をしようと思います。



私の家庭はどこにでもありそうな普通の家庭でした。



トラックの運転手の父とパートで働く母。



そして小学二年生の弟と小学四年生の私。



その頃の私は、その普通の家庭の生活を幸せとは思っていませんでしたが、その生活を失ってからそれが幸せだったのだと知りました。



ある冬の寒い日、私の母は急死したのです。



死因は心筋梗塞でした。



そして私たちの生活は母が死んだその日からすっかり変わってしまいました。



そのとき初めて、私は母の存在の大きさに気づかされたのです。



そんな母の死から一年後、私たちの家に新しいお母さんがやってきました。



でも、私と弟の裕也はそのお母さんを好きになることができなかったのです。
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