37℃のグラビティ
episode1:赤鼻のトナカイ?
12月24日のクリスマス・イヴは、今年一番の寒さを感じた日。


昼間からリビングのこたつに潜り込んで、夕方までゴロゴロしていたアタシに、お母さんが言った。


「陽織、この年賀状、郵便局に出してきて」


「え~っ。寒いよぉ」


「まったく……ずっとこたつに入ってゴロゴロして。ちょっとは寒い風に当たって、シャキっとしなさい」


言われて渋々……こたつを出る。


お母さんの背中に「あっかんべ~」のジェスチャーをして、出掛ける準備をするのに自室へと向かった。


ドアを開けた途端感じる冷たい部屋の空気。


「寒っ」


思わず声が漏れる。


16時を回ったばかりだというのに、レースのカーテン越しに見えた空は、薄紫の日暮れ色。


どうせなら、もっと早く言ってくれたらよかったのに……


と心の中、そんな悪態をついた。
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