37℃のグラビティ
「じゃあアタシ、そろそろ行くね。あと、さん付けとかしなくていいから」


新海の顔も見ずに早口で言って、足早に歩き出したアタシの背中を


「北川」


新海が呼び止めた。


小さく振り返ったアタシに、


「サンキュ」


言って新海は、軽くあげた手を「バイバイ」と振り……


アタシはそれに、なんて応えようか迷いながら、やる気なく後ろ手にあげた手で「バイバイ」と振り返し、屋上をあとにした。


屋上からの階段をゆっくりと下りながら、その振動とは別の鼓動が、胸の中でリズムを刻んでいる事に気付く。


アタシはそのリズムを掻き消す様に、走って階段を駆け下りると、そのまま小走りで教室へと戻った。


部活や帰宅で、誰も居なくなった教室で、アタシはひとり肩で息をしながら、乱れた呼吸を整える。


まだ鞄のかかっている新海の席に目をやり、新海が戻って来る前に帰ろうと、アタシは急いで帰り支度をして教室を出た。
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