37℃のグラビティ
乗り込んだバスの中でも、辺りを警戒して、落ち着かないアタシがいた。


「挙動不審」


そんな声に隣を見ると、既にシートをめいっぱい倒して、新海が目を閉じている。


「だって、こんな風に新海くんと居るとこ、知ってる誰かに見られたら、何言われるかわかんないし」


「言われるだけじゃなくて、刺されたりしてな。って事で、俺は寝る」


新海は言い逃げもいいところで、座席に常備されているブランケットをかけると、アタシに背中を向けた。


てか、アタシも寝よっと……


新海の見様見真似でシートを倒し、ブランケットをかけ、目を閉じてみた。
< 56 / 251 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop