37℃のグラビティ
そう……


頭では理解してるつもり。


だけど。


実際、寛樹を前にしたら、アタシはどうなってしまうんだろう……?


刻一刻と迫る時間に、アタシの心は、まだなんの整理もつけられてはいなかった。


「別れたくない」気持ちをそのまま告げるべきなのか……


強がってでも「サヨナラ」をちゃんと言うべきなのか……


新海まで引きずり込んで、この街までやって来たアタシの意味は、いったい何?


自問自答しながら、もはやアタシと寛樹だけの問題じゃない事に気付く。


昨日の夜、アタシの携帯には、梓からメールが届いていて……


電話に出られなかった事への謝罪と、それを問う内容だけで、寛樹との事なんて一切書かれてはいなかった。


梓はずっとアタシに言わないつもりなのかな?


そう思ったら、恋愛と同じくらい、やりきれない気持ちになる。


恋と友情をいっぺんに失う事になるなんて……


思ってもみなかった。
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