8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~

「ねぇフィオナ様。これ、髪飾りにして売ったら、人気が出る気がします」

 フィオナがぼうっと考えに耽っている間に、ポリーは紐飾りをしげしげと眺めていた。

「私、子供のころから父について行っていろんな商会に顔を出しているのですけど、こういった商品ってなかった気がします」

「そうかしら」

「そうですよ。ほら、こんなふうにドルフ様とお揃いとか最高じゃないですか。今、富裕層の間ではペットを飼うことが流行っているんです。そこにペットとおそろいのアクセサリーという触れ込みで売り出せば、一山当てられる気がします」

 ポリーは目を輝かせている。ただの手慰みと思っていたけれど、上質の紐で作る飾りは確かにかわいい。それに、ペットとおそろいのものを持って楽しむという発想は、なかなかいいように思えた。

「でも、この技術自体は、私の国では庶民の手慰みだったのよ?」

「それは紐の素材が安価なものだからでしょう? ドルフ様が付けているような高級な銀糸交じりの紐で作れば、貴族令嬢にもご満足いただける、立派なアクセサリーになります!」

「だったら幾つか作ってみようかしら。ペット用と飼い主用よね? でも持ってきたものだけで紐が足りるかしら」

 そもそも、自分の手慰み用にと持ってきたのだ。自分の分だけを作るならば十分に足りるが、売り物にするなら足りないだろう。
 ポリーは胸を張って、安心させるように微笑みかける。

「でしたら、私が入手します。その代わり、出来たものを売ってはいただけませんか? 売り上げから材料費と取り扱い手数料を差し引いた額をお渡しいたします」

「本当? それなら……いいわね」

 フィオナとしても、自分だけの財源ができるのは悪くない。
 今のところは困っていないが、この先欲しいものができたとして、オスニエルにねだっても、きっと買ってはもらえないだろうし。

「でもあなた、こっそり商売なんてやって大丈夫?」

 ポリーが解雇されるようなことになれば、フィオナだって責任を感じてしまう。今世ではまだよくわからないが、これまでのループ人生では、ポリーはほかの侍女たちからいじめられていたのだ。弱みでも握られたら大変だろうに。
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