諦 念

▪▪真澄と真琴···①


「ママっ、早く。」
「はいはい。」
今日は、真琴と旭川旭山動物園に
来ていた。

この日をずっと楽しみにしていた
真琴は、朝からおおはしゃぎ。

真琴は、保育園から幼稚園へと
変わり、毎日元気に通っている。

もっと市内に引っ越そうか?
とかも考えたが
私が、ここから離れたくなかった。

近所のおじいちゃん
おばあちゃん、おじさんやおばさん
職場の人達から離れたくなかったから。

真琴も皆さんから
可愛がって貰えて喜んでいる。

パパ?について
聞かれた事はないが·····

いつか話してあげようと思っていた。

実は、母から
光輝の活躍の本をもらった。

まさか、家具職人になっているとは
思っていなかった
まして、ドイツにいるとは。

あんな事までして
欲しかった彼なのに·······

« 頑張ってるんだなぁ »
と、思うだけだった。
本当に、子供で世間知らずで
バカだったのだ·····と

今なら絶対にやらない事だ。

だから、真琴には
私のバカな経験を話して
あなたは、同じ事は決してしないでね
と、伝えようと思っている。

両親は、
「帰っておいで。」
と、言ってくれたが
私は、ここにいさせて欲しいと
お願いをした。

年を取る両親に
いずれは戻り、出来なかった
親孝行をしたいとは
思っているが
今は、この北海道で
真琴とご近所の皆さんと
過ごしたい······と。

「もう、ママっ!!」
考え事をしてぼぉっと
している私に呆れながら言う真琴に
「ごめん。」
と、歩き出したときに
« トン »
と、足元に何かぶつかった。

見ると小さな男の子で。
「あっ、ごめんなさい。
大丈夫?」
と、声をかけると
涙をいっぱいに目にためて
見上げる男の子に
再度·····
「ごめんね。怪我していない?」
と、抱き上げようとすると
「亜季(あき)自分で立ちなさい。」
と、言う男性の声。
振り向くとわりとイケメンな男性が
いて。
「すみません。私がぼぉっと
してぶつかってしまいました。」
と、言うと
興味がないのか
「そうですか。」
と、だけ。

男の子は、自分で立ち上がる。
もう一度
「大丈夫?」
と、訊ねると
コクンとするから
「本当にごめんね。」
と、謝るとにっこりしてくれた。

その顔にホッとすると
男性は、
「ほら、行くぞ。
お前が行きたいと言うから······」
と、ぶつぶつ言いながら
手を引こうとする。

そんな··乱暴に?と思いながら
見ていると
「何か?」
と、言われたから
首を横にふる。

他人の私が何かを言っては
いけないと思い我慢した。

真琴は、私の元にやってきて
「あの子、大丈夫かな?」
と、言うから
「そうだね。」
と、言ってから
気にはなるが
動物園を満喫していた。

そろそろ、お昼を食べようか
となり、広間にシートを広げて
真琴と座ると
「ママ。」
と、言う真琴を見ると
真琴が何かを見ていたから
そちらを見るとあの子だ。

男の子は、何もないところに
座りパンを食べている。
父親?は、立ったまま
珈琲を飲んでいた。

私は、
「あの、宜しければ
ご一緒しませんか?
先程のお詫びもしたいから。」
と、声をかけると
男の子は、パァッと顔を上げたが

男性が、
「いえ、結構。」
と、言うとがっかりした顔をする。

その男の子に
「じゃ、おじさんはそこにいて。
君、お名前は?」
と、言う真琴に
男の子は
「あき」
と、答える
「じゃ、あき君だけ
一緒に食べよう。」
と、言いながら真琴は、
あき君の手を引きシートに
座らせる。

「おい!」
と、言う男性に
「すみません。宜しければ、どうぞ。」
と、もう一度誘うと
しぶしぶ、近づいてきて
近くのベンチに腰掛けた。

真琴は、あき君に料理を取り渡し
飲み物も渡していた。

あき君は、目をキラキラさせて
食べている。
小さく見えるがあき君は、三つだと
言った。

真琴と一つしか、変わらない。

真澄は、男性に料理を
「食べれるだけ、食べて下さい。」
と、お茶と一緒に渡して
シートに座り
真琴とあき君と三人で
色々話しながら、笑いながら食べた。

食べ終わると
真琴が
「おじさん、もう少し
あき君と一緒にいたいから、
一緒に回ってもよい?」
と、男性に訊ねると
無下に出来なかったのか
「あっ、ああ。」
と、男性が答えると
「やった!!」
と、真琴は喜んで
あき君の手をひいて歩き始める。
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