諦 念
8〗

▪▪幸せな日々


私と朝陽の元に女の子が
やってきた······栞(しおり)

昴は、産まれたばかりの
栞の手を握りながら
ニコニコしている。

朝陽は、二度目の立ち会いだが
疲れはてている。

「本当に女性は、すごい。」と·····

たくさんお礼を言われて
恥ずかしくなる
「うふふっ、ありがとう。」
と、返すと
顔中にキスがふる。
もぅ、看護師さん達いるのに···
と、朝陽を見上げると
「ありがとう。俺に沢山の
幸せをくれて。」
と、唇にキスをする
うんうんと、頷く。
私も····幸せ······

外では、十川の両親と昴
父と明奈と陽菜が
栞を見て可愛いとか
柔らかいとか
よい匂いとか

その言葉をききながら
私と朝陽は、笑いあう。

「はい。奥様の処置が
行われますから
ご主人は、外へお願いいたしますね。
仲の良いところは沢山見せて
頂きましたから。」
看護師さん達に言われて
真っ赤になる二人に
スタッフの方も優しい顔をしていた。

どうしても、父の病院での
出産は、恥ずかしいから
違う病院での出産。
父も、ちょっとな
と、言っていたから。

でも、明奈と陽菜と
とても幸せそうに暮らしている父。
明奈と陽菜に感謝しかない。
いつまでも笑っていて欲しい。

朝陽の元彼女?西山さんは、
ご主人と沢山話して
一度離れたらしい。
だが、やはり、この人しか·····と
お互いがわかり
元サヤに収まったと
お礼の葉書を頂いた。

朝陽と
「良かったね。」
と、話した。


光輝は、ドイツを基点に
あちこちに家具の勉強をしている
動ける今しかできないと
一瀬 光輝の名前は
家具の職人として
雑誌やテレビで良く耳にすることに
なった。
彼女?らしい人は、
いるとか、いないとか。
たまに、葉書が届いている。

真澄さんは、
松坂さんと真琴ちゃんと亜季君と
真季(まき)君と
五人で幸せに暮らしている。
こちらからも葉書がくる。

真澄さんは、あの頃と違い
可愛さは変わらないが
優しげな眼差しに目を見張る。
良かったね。
と、声をかけたくなる。

でも、本当に良かった。
あのときは、苦しくてつらかった。

だけど····だからこそ·····

朝陽との幸せがある。

光輝も真澄さんも
同じだろうと思う。

皆の幸せを願いながら
私は、私の大好きな朝陽と
可愛い可愛い、昴と栞と
生きて行きたい。

全てを諦めていた心を
救ってくれて、寄り添ってくれた
朝陽を始め皆さんに感謝して
生きて行きたい。

             完
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