きっと100年先も残る恋
さつま揚げとウーロン茶
結局、映画はなしで普通に会おう、ということになった。

待ち遠しかったこの日。

また今日も高松雄介は隠すこともせず普通に駅に現れた。

「こんにちは」

わざと、ぎこちなさそうに挨拶をしてきた。

「こんにちは」

私も応える。
フッと途端に笑顔になる。

口数は多くないけど、よく笑う人だ。

また「はい」と言って手を取ってきた。

なんとなく、手を繋ぐことが心地いい。
彼と私の間で繋がれた腕がゆったり揺れる。

高松雄介は歩くのが遅い。
本当に遅い。

だから目的地に着くまですごく時間がかかる。

私に合わせてくれてるのかな、と最初思ったけど、そうでもないようだ。
彼のペースがある。

「なんでそんなに歩くの遅いの?」

私は隣の横顔を見上げる。

「ええ?」と言って笑う。

「全然気にしてなかった。遅い?」
「遅い」
「いいじゃん、別に、急ぐ用事もないし」

そう言って私の機嫌を伺うように見てくる。
別に機嫌は損ねてないけど。

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