きっと100年先も残る恋
梅雨
春から雄介はモデル事務所に属した。

雄介はモデルの仕事が格段に増えたけど、中でも一番大きかったのは、女子学生向け雑誌「WAYS」のボーイフレンド役「WAYS BOY」に選ばれたこと。

一年間、恋人役で毎月出ることになった。

私たちは堂々と会うことはできなくなって、その分雄介が私の家にいることが増えた。

私は大学2年になった。

「なんか俺、全然知らないのにモデルの子と熱愛情報出てる」

雄介が突然言ってきたのは夏近い梅雨の時期。

「え?」
「寺嶋愛菜って子。知ってる?」

私は首を横に振る。
全然知らない。

「俺も全然知らないけど、ネットで俺の名前と寺嶋愛菜ってセットで出てくる」

雄介がスマホを出して検索し始める。
と、本当に「高松雄介 寺嶋愛菜」で一番上に表示された。

高松雄介 熱愛
高松雄介 彼女
高松雄介 寺嶋

「ほら」と雄介が呟く。

「芸能人みたい」
「ある意味すごいよね」

2人で顔を見合わせる。

「どこから出てくるんだろうね」
「なんか衣装のアクセサリーがお揃いだったらしい」

そんなことで、と思うけど、それ以上に女性の注目を確実に集めつつある事実に驚いた。
今まではメンズ雑誌の中だけで貴田美里効果も薄れていたのに、WAYS BOYに選ばれた途端にこれだ。

WAYS以外にもいろんな女性誌の彼氏役として登場することが増えていて、女性の目につくようになったんだと思う。

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