きっと100年先も残る恋
二十歳
二十歳の誕生日。
雄介が個室を予約してくれた。

予約した時間に合わせてタクシーを呼ぶ。

外食なんて久しぶりだった。

雄介はマスクと眼鏡で軽く変装する。
最近、少しずつ声を掛けられることが増えてきたらしい。

家からお店にテレポートするみたい。
前まで、雄介の歩く遅さにイライラしていたのに、それすらなくなった。

お店の前に着くと、軽く急ぎ足で道路から店内に向かう雄介。

その背中に少し寂しさを覚える。
たった数ヶ月でこんなに変わるものかな。

1年も経ってない。

手をぷらーんぷらーんと揺らして歩いてた日が遠く感じる。

遅れて店内に入ると、店員さんに案内してもらって個室に通された。

そこでやっと雄介がメガネを取る。

その姿を思わずジッと見つめてしまう。

「ん?」と雄介が私を見る。

「ううん」と首を振って椅子に座ったけど、違和感は拭えなかった。

「何飲む?何なら飲めるかなー」

雄介がドリンクのメニューを眺めながら呟く。

「飲みやすいのがいいな」
「カクテルかな」

そう言ってメニューを渡してきた。

「マリブオレンジ」

私がそう言ってメニューを立てかける。

「マリブオレンジ?」
「うん」

雄介がふふんと笑う。
雄介はビール。

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