蒼春
カーン、カーン、カーン… 

大きな鐘の音と共に大きな扉が開く。

私たちは純白の服で身を包んで、腕を組みながらその開いた扉へ向かう。

今までのさまざまな思い出とともに、新しい一歩を踏み出す。 


結婚式が始まる前に彼は真剣な顔で私の目を見て「今から伝えたいことがある。」と言って話し出した。

『俺が今まで楽しく生活できたのは乃蒼のお陰だよ。辛いときや苦しい時、いつも側にいてくれてありがとう。乃蒼の優しさはいつでも俺を支えてくれた。』

俺、乃蒼いなかったら死んでたかも笑、なんてニカって笑いかけてきた。


私は涙が止まらなかった。

『でも、乃蒼には謝らないといけないことも沢山ある。迷惑かけてごめん。乃蒼が傷つけられた時守ってやれなくてごめん、あの時も…』

「あ、あれは蒼生のせいじゃないよ。私の方が尽くしてもらってばっかだし…」

私は泣きながら言った。そんな私の涙を、彼は苦笑しながら拭ってくれた。


『だけど、これからはもう後悔しない。俺は乃蒼のこと、一生守るし、幸せにする。約束する。だから…』

真剣な彼の目と私の目が合う。


"一生俺のそばにいてください"


「こ、こちらこそ一生隣にいさせてくださいっ!」

私は笑顔でそう答えた。


こんな幸せな日が来るなんて思わなかった。素敵な“夫”の隣に立ち、みんなに祝福されている。


幸せ、……私の運命が動き出したのは高校1年生の時。
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