蒼春
先輩はボールのかごを近くに置いて、1人でサーブ練習をしている。ボールを高く投げ、軽やかなステップを踏んでジャンプサーブをしている。

バシィィィィンッ

先輩が打ったボールはきれいな直線を描いて反対側のコートに落ちていく。

うわぁ、きれい…。

そう思ってしばらく眺めていると、服の裾で汗を拭いている先輩と目があった。

あ、見つかった、どうしよ。

そう思っていると、先輩が近づいてきた。

「あれ、どーしたの?」

『あ、えっと、昨日ボール触ったら空気が抜けてきている感じがしたので、空気入れようと思って…。』

「それ、俺も思ってたんだ。じゃあ今から一緒にやろっか。」

先輩は小走りで空気入れを取りに行った。

『っせ、先輩。私がやるので練習してて大丈夫です!』

「いーのいーの。2人でやった方が早いでしょ?」

『で、でも…。』

「じゃあさ、早く終わらせて俺の練習手伝ってよ。正直、1人じゃ大変だからさ。」

『そ、そういうことなら…。』

私は先輩の言うことを聞くことにした。


2人でボールに空気を入れていく。やっぱり2人でやると早くて、10分ぐらいで全部終わってしまった。

『先輩、手伝ってくださってありがとうございました!練習の邪魔してごめんなさい…。』

「いや、いつも仕事任せきりだしこれぐらいやらせてよ」

笑顔でそう言ってくれて嬉しかった。


「じゃあ、ちょっと練習手伝ってもらってもいい?」
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