あぁ、やってしまった…。

『先輩、すみません。花火…』

「大丈夫、今からでも間に合うよ。」

そう言うと先輩は私を抱き上げた。ミサンガを私の手にしっかり持たせると、耳元で囁く。

「ちゃんと捕まっててね」

すると、先輩は全速力で走り出した。階段を軽々飛び越え、普段は締め切られているはずの屋上の扉を開ける。そこでようやく私を降ろしてくれた。

『…ここって入っても大丈夫なんですか?』

「大丈夫、先客も2名ほどいるようだし。」

そう言った先輩の目線の先には、蓮と徳島先輩がいた。


2人の邪魔にならないよう、後ろの方で一ノ瀬先輩と花火を見る。

『先輩、今日はありがとうございました。』

「急にどうしたの?」

『いや、一緒に花火見るのが先輩だとは思わなくって…。』

「そうだよね、俺もびっくりだよ。」

花火を見ながらそう呟く先輩。横顔がいつもより綺麗で、見惚れそうになるくらいだ。

「ん?俺の顔にまたなんかついてる?」

『いや、ただ綺麗だなぁって思っただけです!』

急に見つめていたのがバレて焦ってしまう。

「そんなはっきり言われると照れるんだけど…。」

分かりやすく、耳まで赤くする先輩。



こうして三日間の学園祭は幕を閉じた。

…一番衝撃だったこと?

それは蓮と徳島先輩の仲だ。

2人は花火の後、私と一ノ瀬先輩が見守る中、蓮からの告白で付き合うことになった。

「2人とも付き合えて良かった⋯。」

両想いだということに前から気づいていた私と一ノ瀬先輩は、顔を見合わせて笑った。