求められて、満たされた
6.安穏
『奈生ちゃん、今日から行くんだっけ？学校。』

『はい。今準備してるところです。』

『そっか。頑張ってね！俺講義中暇だから何かあったらいつでも連絡していいから！』

『ありがとうございます』



俊介と付き合ってからも変わらず優登さんとは連絡を取っていた。

別にやましい関係でも無いし、バイト先の人でもあるから連絡を絶つ必要も無かった。

もうあと1週間もすれば学校は冬休みに入ってしまう。

その前に学校に行っておきたかった。

それを優登さんに報告すると物凄く喜んでくれた。

本当はとても緊張していた。

もう何ヶ月学校に行っていないんだろう。

連絡をくれていた人たちの事も無視してずっと休んでいた私が急に学校に登校したらどう思うんだろう。

冷たい目をされるのだろうか。

もしかしたら私の存在なんて忘れているかもしれない。

色々考えると怖くなった。

だけど、いつまでもこうしてられない。

もう一度音楽と向き合うと決めた以上逃げてなんていられない。

メイクや着替えなどの準備を終えた私は背中にギターを背負い家を出た。



｢よっ。｣



家を出ると俊介が車に寄りかかりながら片手をあげて笑っていた。

｢なんで？｣

｢いや、お前学校行くって言ってたから。仕事行くついでに送ってやろうかなって。乗れよ。｣

｢ありがと。｣

助手席に座ると俊介がコンビニの袋を私に渡した。
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