再会は涙色  ~元カレとの想い溢れる一夜からはじまる物語~
新しい日々
『麻衣、ダメだ、だめだー。麻衣!助けて。』
スピーカーから聞こえてくる声に手をとめる麻衣。
「お前の旦那、本当に・・・娘のことになると頼りなさすぎだろ。」
手をとめた麻衣の隣で、一緒に手をとめるのは稜真だ。

「ごめんね、ちょっと待ってて。」
「了解」
麻衣はドアを開けて、助けを求めている理久の元へ向かった。
「どうしたの?」
「ミルクのんでくれない。」
泣いている娘をあやしながら哺乳瓶を持っておどおどしている理久に、麻衣は思わず笑う。

「貸して」
哺乳瓶を理久から預かり、自分の手首にミルクを出す麻衣。
「ちょっと冷たいんだよ、冷やしすぎね。温度に厳しいから。」
麻衣はキッチンに向かいミルクを温めなおす。
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