再会は涙色  ~元カレとの想い溢れる一夜からはじまる物語~
「おいおい、本番だったらシャレにならんぞー。」
床に落ちた道具を拾う麻衣を手伝いながら稜真が麻衣の顔色を見た。
「お前、一回座れ。これは俺がやるから。」
麻衣の顔色の悪さに気づいてすぐに稜真が手にしていた道具をもう一度床に置き、麻衣の肩をグイっとつかんで立たせる。
肩を支えながら、スタジオの中にある椅子に麻衣を座らせた。

首をかしげている麻衣。
「お前なー自分の体調管理くらいちゃんとしろ。顔色、土色になってんぞ。」
「つちいろって」
稜真の言葉にふっと笑う麻衣。
でも稜真は真剣な顔のままだ。
「具合、自覚症状ないのか?それはそれで問題だぞ?」
あまりに真剣な稜真の言葉に、麻衣はふと自分の体調を考える。

確かに少しくらくらするかもしれない。
頭も朝から痛む。
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