再会は涙色  ~元カレとの想い溢れる一夜からはじまる物語~
「確かに。この世界はただ歌がうまいだけでは生きていけないくらい厳しい世界になりました。歌だけをやりたいと言っていた理久にとっては苦しい状況もあったと思います。特に理久はバラエティ番組への出演や、歌番組のトークコーナーを嫌いました。」
マネージャーの言葉に、納得する麻衣。
確かに、嫌いそうだ。
「歌に関係なく、彼のルックスも私たちは利用して彼を押し上げようと雑誌にもたくさん挑戦させて、理久からはかなり反感をかいました。」
「・・・」
「でも・・・彼はもう大きく育った。土台はできた。これからは仕事だって選べるくらい、安定しています。」
麻衣はマネージャーの方を見る。

話の意図が知りたいからだ。

「表舞台とくくらずとも、仕事を選ぶ権利が今の理久にはある。私たちの会社も、理久が自分にとって必要な選択をしていいと何度も話してきたのに、彼は会社も、表舞台も去ります。」
ズキンと心が痛む。
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