再会は涙色  ~元カレとの想い溢れる一夜からはじまる物語~
彼女が麻衣に話をしてきたのは”理由”があったからだとわかった。
でも、何も返事を返せない麻衣。

「表に出ないのは、誰かを守るためだと思っています。それがあなただとしたら・・・」
マネージャーは理久の方に視線を戻した。
「ステージで歌う彼をよく見てください。彼にとって本当に正しい選択はなにか。彼を想うなら、わかるはずです。」
麻衣ももう一度理久の背中をみる。

ライトがあてられた場所で一人、ギターを持ち歌う理久。

その背中をみて、麻衣はギュッと唇をかみしめた。

「すべては私の憶測です。次の衣装チェンジまで2分。準備をお願いします。」
マネージャーは表情を切り替えて麻衣に微笑むと、その場を離れた。

麻衣は、もう一度理久の背中をみて、大きく深呼吸をしてから、理久に背を向けて着替えブースに戻った。
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