運命なんて信じない
定時後は真っ直ぐ家に帰宅。
喜代さんやおばさまの手伝いをして夕食を作ったり、おばさまの買い物に付き合ったりと、残り少ない親子の時間を大切に過ごした。

「琴子ちゃん、来年のお正月は一緒におせちを作りましょうね。お雑煮は味噌でいいかしら?」
おばさまが嬉しそう。

「おせちなんて、作ったことないです。いつもはおばあちゃんの煮物くらいで、後はスーパーで買っていましたから。でも、お雑煮は醤油味でした」

きっと食べることのできないおばさまの手作りおせちを思いながら、私はおば様との時間を大切に過ごした。

「お醤油味のお雑煮、食べてみたいわね」
「今度作ります」
「楽しみね」
おばさまは本当に嬉しそう。

ごめんなさいおばさま。
せっかくお母さんが出来た気がしていたのに・・・
こんな形でお別れなんて・・・
本当に、ごめんなさい。
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