【コミカライズ】黒騎士様から全力で溺愛されていますが、すごもり聖女は今日も引きこもりたい!

8 大聖堂の視線は釘づけです

 聖教国フィロソフィー、首都カントの中央に位置する聖王城は、聖王の居城としてだけではなく、枢機卿団が出入りする政治の中心地でもあった。

 聖王城に付属する大聖堂では、今まさに王位継承者を選定するための議会が開かれていた。

「ガレアクトラ帝国のジュリオ第四王子殿下こそ、次なる聖王にふさわしい!」

 選ばれし五名の枢機卿しか座れない壇の中央で、そう主張するのは主席枢機卿のマキャベルだ。白い髭とワイン色の礼服でつつましやかな教会関係者をよそおっているが、ギラギラした瞳にはかれすらした気迫がある。

「ジュリオ殿下は、先王の妹君であるヘレネー様の御子として、フィロソフィー王族の血脈を受け継ぎ、多大な魔力を有しておられる。また才覚にも恵まれていて、自ら軍人として働きながら、政治にたずさわる三人の兄王子たちを無私無欲で支えてこられた。聖王に迎えるべき素晴らしい人格者である!」

「まあね。母上の母国が大変なのだから、僕が手を貸すのは当然だよ」

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