【コミカライズ】黒騎士様から全力で溺愛されていますが、すごもり聖女は今日も引きこもりたい!

2 黒騎士のお迎えは問答無用です

 ぱたんと倒れた扉を踏みつけて、黒い一角獣《ユニコーン》が祈りの部屋に入ってくる。ひづめの音は重く、尖った角と毛並みがつやつやとしていた。

 多くの一角獣は体が白く、乳白色の角を生やしている。光に透けた角は、淡いピンクや水色やイエローといったプリズムでなんとも綺麗なのだ。
 それに対して、漆黒の威圧感たるや。ごくまれに灰色や茶色、黒みの強い個体もいるが、ここまでの黒はめずらしい。

 騎乗しているは、冷たい雰囲気の青年だった。羽織ったマントや手綱を握る手袋は黒く、一角獣の足どりにあわせて揺れる髪も黒い。

 対して、マントの下に見える服は白い。金色のパイピングがきいているショートコートは、馬にまたがるときに邪魔にならないよう後ろ身ごろが長い。
 胸元にキラリと光っているのは、所属部隊をあらわす徽章《きしょう》だ。

 これは団服である。聖教国フィロソフィーには、聖王に忠誠をちかった聖騎士団がある。黒い一角獣にまたがる彼もその一員なのだ。

(聖騎士団の騎士がどうしてここに?)

< 7 / 295 >

この作品をシェア

pagetop