禁忌は解禁される
颯天の道
「颯天…成人したら、てめぇの道はてめぇで決めろ!
お前が俺の跡を継ぎ、裏の世界で生きると言うなら、本格的に教え込んでやる。
もし…まっとうに生きると言うなら、それもちゃんと陰からサポートしてやる。
ただし、決めるのは一度きりだ!
それ以降の変更は認めねぇ…………
後二年……じっくり考えろ。
いいな…!」

これは神龍寺 颯天が高校を卒業した時に、父親・颯太に言われた言葉。

颯太は裏の世界を束ねる“魔王”だ。
颯天は、颯太が負けたところを見たことがない。
そして颯太に意見する人間を、家族以外で見たことがない。
いつも颯太が一番で、みんな颯太の言うことを忠実に守り、従っていた。
颯太の周りにはいつも、強面の男達が最低五人はいて、身の回りのことも全て、彼等がおこなっていた。
この大きな屋敷では“神龍寺 颯太”が全てだ。

そして、颯天には姉がいる。
神龍寺 一颯。
組の人間には“姫”と呼ばれている。
“姫”と言う名にふさわしい位、美しく穏やかで、優しい。
ほんとにあの…颯太の娘がと思える程に━━━━━

颯天の母親・律子は、颯天が中学生の時に亡くなった。
律子も美しく、一颯と律子は、この男ばかりの牢獄のような屋敷の癒しだった。


そして颯天は、姉・一颯に特別な感情を抱いている。


颯天は、成人後の道はもうすでに決めている。

だからこそ高校卒業後は大学等に行かず、颯太の部下達にくっついて裏の仕事をしている。





全ては成人後の、自分の道の為に━━━━━━



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