禁忌は解禁される
一颯の葛藤
「おはよ!今度は朝だよ!」
「……おはよう」
一颯が目を覚ますと、見つめている颯天と目が合った。

「見てたの?私の寝顔」
「見てたよ。一颯の寝顔」
「恥ずかしいから、やめてよ////起こせばいいでしょ?」
颯天の腕の中から、逃れるようにベッドから下りようとする。

「ダーメ!行かせないよ?」
更に抱き締められる。
「………」
無言で、颯天を見上げ見つめる。

「ん?何?」
「どうして…私達、姉弟なんだろうね……」
「一颯…?」

どうして、あの日…颯天は神龍寺家に来たんだろう。
どうして、もっと早く、私達は本当の姉弟じゃないよって話さなかったんだろう。

どうして
どうして

どうして…………


私はこんなに、颯天が好きなんだろう━━━━━

一颯は、泣いていた。

「泣かないでよ……一颯に泣かれたら、どうしたらいいかわからなくなる…
一颯の涙は弱いんだから。
俺は、姉弟でもなんでもいいよ。
一颯と出逢えて、こんな風に傍にいられたら……
だって姉弟なんて、俺からすれば何の“枷”にもなんないから」
颯天の力強い、迷いのない瞳。

「強いね……颯天」
「そう?
一颯は可愛いね…!」
「可愛いのは、颯………もう、颯天可愛くない!
成人式前日まで、可愛かったのに!」
「フフ…別に可愛くなくて結構!
一颯に“可愛い”って言われるの嫌だったし!」
「どうして?」
「一颯の前では、大人の男でいたい!俺が守りたいから!
俺だけを頼ってほしいから!」

「フフ…可愛い~」
思わず、笑みが溢れる一颯。
「あーー!可愛いって言った!やだっつてんじゃん!
………でも、やっと笑った!
やっぱ、一颯の方が可愛い……」

そう言って、嬉しそうに一颯の頬を撫でる颯天だった。

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