オフィスの華(令和版)~若社長と秘書のHONEYなヒミツの関係~
ホテル直行は避けられたけど、六本木に行って何をするつもりだろうか?
私達を後部座席に乗せ、栗原さんは運転席に乗り込んだ。
慣れたハンドルさばきで、夜の渋滞する道路に出る。


「親父が居るし…どうもあの店では落ち着かなくて…強引に連れ出してしまって…すまない。華」

「いえ…」

最初は説教臭いオヤジのような雰囲気だった彼。

でも、段々時間が経つにつれ、態度が変わって来た。

徐に置いた私の手に彼の手が重なる。

互いにハッとして顔を合わせ、そのまま視線を絡めた。薄暗い車内の中、運転席の栗原さんの存在が気になるが、隣に座る祐早斗様も気になる。

「キレイな手だな」

「ありがとう御座います」

なんで礼を言ったのか、自分でも分からない。
思考が完全に緊張で可笑しくなっている。

今は喋らない方がいいかも。
私が口を噤んでいると、今度は彼が重ねた手をそっと握り込んで来た。
指と指を絡める恋人繋ぎにすぐさま変わった。
彼の長く筋張った指が私の指と優しく絡む。





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