元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
人と獣の違い
***



 ティアリーゼがここに来てはや数日が経った。

(……わからない)

 気付けばティアリーゼの口癖までこうなっている。それもすべて、白蜥の魔王と呼ばれる目の前の亜人のせいだった。

(この人、どうしていつも私の部屋にいるの)

 シュクルは今日もまたティアリーゼの部屋で勝手にくつろいでいる。

 勝手にベッドで寝ようとしたときはさすがに止めたが、やたらめったら慣れ慣れしい。

 常に緊張し続けているティアリーゼとは違い、シュクルは無防備に背中を晒したり、ときどき昼寝をしたりと本当に好き放題過ごしていた。

「あの」

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