君じゃなきゃ。
<6>


そんなドキドキ感が残ったまま帰宅した。


「ふ~……なんかいろいろあった一日だったなぁ……」


いつものようにアップにしている髪留めを外そうと頭に手をやって気づく。


……そっか。

今日は先輩に外されたんだった……。


髪に触れられたと思うと自然と顔が熱くなる。


「ダメダメ!こんなんじゃ!しっかりしなきゃ!」


先輩は彼女がいなくなって弱ってるだけだろうし。

あたしだって健人とケンカして先輩が良く見えちゃってるだけだろうし。



……でもやっぱり先輩はかっこいい。


仕事ができて、身のこなしもスマートで、スーツもバッチリ似合ってて。

なのに飾らない性格。いつもあたしのこと気にかけてくれるし……。


「あ~!あたし何考えてるんだろ~!!」


あたしはモヤモヤになってきた思考と共にベッドにダイブした。



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