羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】
11章:もしかして先輩の愛は重いのかもしれない

 掴まれている腕が痛い。濃厚なキスにぼんやりとする頭をなんとか正常に戻して、先輩のキスから逃れようとしたけど無駄だった。

 先輩の右手がするりと背中に直接入る。その感触に余計慌てて、混乱して、私が思わず唯一動く足で先輩を蹴ろうとすると、先輩はそれも制するように、足を抑える。そして不機嫌そうに眉を寄せた。

「昔からヤンチャな足だよね」
「先輩が変なことするからっ!」

(昔も今も……先輩が悪いんじゃないの⁉)
 泣きながらそんなことを思う。

 意味が分からなかった。
 先輩の不機嫌な意味も、こうやって、外で人の気配を感じながら車の中でされるキスも。どうしてこんなことされるのかも意味が分からない。

< 167 / 302 >

この作品をシェア

pagetop