狙われてますっ!

その後の渡真利と……




 汐音たちと会った次の日、仕事で街中を歩いていた渡真利は、ふと足を止め、振り返った。

「どうしました?」
と同僚に問われる。

「いや……、最近、背後でなにかの気配を感じるときがあって。
 でも、振り返っても、誰も居ないんだ」

「渡真利さんに気づかれないなんて、余程の凄腕ですね。
 あの有川さんて人ですかね?

 加倉井さんとこの」
とその若い同僚は笑う。

「有川さん、今更、俺に用はないだろう」
「じゃあ、いつかなにかの事件のときに出会った忍者みたいな人とか?」

「いや、あの人こそ、用もないのに現れないだろうよ」

 そう渡真利が言ったとき、スマホが鳴った。

 はい、と出ると、上司だった。

「え? またですか?」
と話の内容に眉をひそめたとき、渡真利は、ふたたび背後に気配を感じた。

 だが、急いで振り返ってみても、それらしき人物は居ない。
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