告白予約。〜猫系男子は赤面少女に夢中〜
ぎゅっとして、もっと




 本格的に梅雨が明け、夏がやってきた。毎日気持ちのいいくらいのカラッとした晴天で、年に一度しか聞けない蝉の声がジーリジーリとそこかしこから聞こえる。



「おーい!凛子いる?」



 ざわざわした休み時間の教室内に、珍しい声が響いた。その声の主を見て、有菜ちゃんの机でスマホを弄っていた私は立ち上がり、ドアに駆け寄った。



「えっ、陸くんどうしたの?」
「わりー、教科書貸してくんね?忘れた」



 あの駅での一件以来、陸くんとは普通に会話ができるようになった。挨拶をしたり、廊下で会えば世間話をしたり、本当にその程度だけど、私にしては成長だ。

 けど、どちらかといえば真面目に見える私と、不良っぽくてチャラく見える陸くんが話していると、珍しいものを見るような目で見られることが多い。たまに、また脅されてるの?と聞かれることもあるくらいだ。

 けど、陸くんはそんな視線気にしていないようで、こうやってたまに忘れ物を借りにきたりする。私はロッカーから教科書を取り出し、陸くんに渡した。



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