竜王陛下のもふもふお世話係2~陛下の寵愛はとどまるところを知りません~

◆◆ 2

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 王宮に戻ったジェラールは、怪我をしたフェンリルを医務室に預けるとすぐにあの罠について調査するようにラルフに指示を出した。

 ラングール国では、食用の家畜は全て畜産農家で管理されており、魔獣を狩って食べることはない。それに、魔獣が竜人を襲うため駆除するという話も全く聞いていない。
 誰か何のためにあんなものを仕掛けたのか。それが謎だった。

「誰の仕業か判明したか?」

 数日後に別件でジェラールの元を訪れたラルフに、ジェラールは問いかける。

「申し訳ございません。鋭意、調査中です」

 ラルフはそう言って頭を下げる。

「使われていた罠はアリスタ国で食用にするために獣を捕らえるためによく使われるものであることは判明しました」
「そこから、辿れないか?」
「難しいでしょう」

 ラルフは首を横に振る。

「あの罠はアリスタ国では広く一般的に使用されている物のようで、どこででも売られています。和平条約締結後は両国間の人の行き来も増えておりますので。ただ──」
「ただ、なんだ?」
「あれは、小さな獣用なのです。つまり、罠は体が小さい魔獣を狙って設置されていたと考えられます」
「つまり、魔力の源にすることが理由ではないということだな?」
「そう考えるのが自然です」

 ラルフが頷く。
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