必要な物の買い物を済ませ私達はレジデンスに帰ってきました。
 荷物のほとんどは後でここまで運んでいただくようにお願いしましたが、柚瑠木(ゆるぎ)さんが買ってくださった夫婦箸だけはきちんと私が持ってきました。

 そろそろ外も薄暗くなってくる時間です、私はお夕飯の支度をしなくては。そう思ってキッチンに向かい冷蔵庫を開けると、材料が綺麗に並べてありました。

「柚瑠木さん、冷蔵庫の中身を夕飯に使ってもいいでしょうか?」

 ここにある材料は私が買ったものではありませんでしたから、聞いてみました。すると彼は……

「いえ、月菜(つきな)さんは家事は一切する必要はありません。もうすぐ使用人が来る時間になりますから。」

 私が家事をする必要が無い?お料理も、お洗濯も、お掃除もすべてですか?仕事をしていいとも言われていませんし、私は一体何のために柚瑠木さんの妻になったのでしょう?

「じゃあ、私は普段何をすれば……?」

「月菜さんの好きな事をすればいいんです。習い事でも、ショッピングでも……貴女の好きなように時間を過ごしてください。」

「そうですか……分かりました。」

 柚瑠木さんが私の事に興味や関心がないことは分かっていましたが、本当に私は貴方に何も望まれていない妻なんですね。
 夫婦箸を買ってくれた時は、私の事を少しは気にかけてくれているのかもと思ったのですが。