蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
契約結婚から幸せを掴んで


「ふふふ、ついに月菜(つきな)さんが柚瑠木(ゆるぎ)さんを陥落させてしまったのね。まあ結果は分かっていたようなものだったけれど」

 私達とは離れた席に座って仕事の話をしている柚瑠木さん達を見ながら、香津美(かつみ)さんはそれはもう楽しそうに笑っています。そんな私達を戸惑った様子で見ている杏凛(あんり)さんも相変わらずです。

「どうして分かるのですか? 今日きちんとお話しようと思ってた事なのに」

「そんなの柚瑠木さんの月菜さんを見つめている様子だけで分かるわよ。最愛の妻にはあんな甘い顔をしてみせるのね、あの冷徹男は」

 思い出したように「むふふ」と笑う香津美さんは、何か企んでいるようにも見えなくないのですが……
 
「あの……契約結婚からこうして本当の夫婦になり、二人にとって何が変わりましたか?もし良ければ教えてもらいたくて……」

 珍しく自分から話を聞きたがる杏凛さん、きっと彼女も匡介(きょうすけ)さんとの関係をより良いものへと変えたい気持ちがどこかにあるのでしょう。

「ええ、変わりました。私も柚瑠木さんも……でもそれは杏凛さんが匡介さんと二人で見つけて欲しいので、今は内緒です」

 ふふふ、と香津美さんと顔を見合わせて笑います。きっと杏凛さんならばこの言葉の意味を分かってくれると思うので。


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