ベッドの上、私は柚瑠木(ゆるぎ)さんに強く抱きしめられたまま。もちろんこんな状況で冷静でいられるわけなくて、私の心臓はバクバクと音を立てています。
 けれど薄い寝巻から伝わってくる柚瑠木さんの体温はとても心地よくて……冷たそうなのに意外と体温の高いのですね、柚瑠木さんは。

「あの、柚瑠木さん……」

 もしかしてこのまま眠るんですか?とは聞かない方がいいのでしょうか。こういう事は今まで経験したことが無いので、どうしたらいいのか分かりません。
 けれども少しだけ二人の関係に進展があるかもしれないと、期待をしているのかもしれません。だって今、柚瑠木さんはほんのちょっとだけ私を頼ってくれているのですから。

「少しだけでいいんです、もう少しだけこのままで……」

 普段は聞かせてくれない、少し甘えたような声に胸がキュウっと苦しくなります。柚瑠木さんと一緒に居ると私の心臓がどうにかなってしまうんじゃないかと思ってしまいます。

「少しじゃなくていいです。私は柚瑠木さんの妻なんですから、好きなだけ我が儘言ってください。」

 緊張しながらも、ちゃんと伝えたいことは言えてます。ますます柚瑠木さんの腕の力が強くなって、今度は彼の吐息を耳に感じて……

「あれほど契約結婚のお飾り妻だから何もしなくていいと言ったのに、どうして月菜(つきな)さんは……」