甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~
契約と寂しい気持ち


 聖壱さんからキスマークを付けられた夜から一週間が過ぎた。それまで何かあれば私に触れてこようとしていた聖壱さんがあれからピタリと私に触れなくなった。
 着ているシャツの中、彼からつけられた後は今にも消えてしまいそうで……何だか複雑な気分になっていた。

 仕事場での人間関係だって、彼に言われた通り無茶な事をするのは止めた。まあ、何か言われたら相変わらず数倍にして返してはいるのだけれど。
 この辺は直しようがないわ、もともと私はこう言う性格なんだもの。

 だけど変なの、聖壱さんが私を避けているように感じるのよ。職場ではいつも通りに振舞っているけれど、2人の家ではどこかよそよそしくて。何があったのか聞いてみても、何もないからと笑ってごまかされてしまうの。

「絶対変だし!私にだけ何か隠してるみたいじゃない?」

 気になり始めると、なんだか大人しくなんかしていられない気がしてきて……どうにか話を聞くことが出来ないかしら?
 聖壱さんはかなり切れ者だから、そう簡単には騙せないでしょうね。じゃあ、彼が簡単に引っかかりそうな手は……?

 ひとつだけ私にもできそうなものがある事に気付いたの。正直、凄く勇気のいることだけれど……その夜、私はそれを実行に移すことにした。


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